あの頃のことを思い出すと、今でも胸がざわざわする。それだけ好きだったってことかな。
タイトル見た瞬間「わかる……」ってなった人も結構いるんじゃないかと思います。
私、ネトゲ歴は結構長い方なんですが、その中で一番本気で落ちた恋は、まちがいなく「声」から始まりました。名前を出すと特定されそうなのでふせますが、少し古めのMMORPGにはまってた頃のことです。
そのゲームではレイドとかじゃなくて、日常ダンジョン周回してるだけのゆるいギルドに所属して遊んでました。ある日、募集に混ざってPTを組んだ中に彼がいました。名前は「カイト」みたいなカッコいい系(笑)
最初はテキストのチャットだけ。「ここスタン入ります」「蘇生お願いします」みたいな普通のやり取りをしてました。
でも、その日の夜にギルドのボイチャに誘われて入ったら……。
「あ、こんばんはー。カイトです。よろしくね」……え?一瞬で世界が変わりました。優しくて落ち着いた、でも中に一本筋が通ったような、それでいて甘い声。
「ははっ、死んじゃったよー、ごめんね」って自分のミスで死んだときの、照れ笑いみたいな声が素敵。
その日から、ボイチャに入るのが毎日楽しみになりました。声だけでこんなに好きになるなんて思わなかったです。顔どころかどんな人かも全く知らないのに。
彼は「社会人です」って言ってたので、20代後半〜30代前半くらいかなって勝手に想像してました。アバターはもちろんイケメン剣士だったけど、それも関係ない。本当に声だけで好きになってしまいました。
- 私が死にそうになると「大丈夫、大丈夫、俺がカバーするから」って落ち着いた感じで言ってくれる
- 私が変なミスして「ぷっ……リナさん可愛いな、それ」って笑う
- 深夜に「もう寝なきゃヤバいね……でももうちょっとだけ、いい?」って甘えた感じで言ってくる
- 疲れてる日に「今日声元気ないね。なんかあった?」って心配してくれる
テキストだと「元気?」で終わってしまうけど、声だと「え、なんか今日元気ない?」って聞いてくれた時にすごく感情がこもっていて、それがとてもうれしかった。「この人、私のことちゃんと見てくれてる」って、顔も会ったこともないのに思えました。
声で好きになる恋愛って、脳が勝手に自分の理想な感じに補完するんじゃないかと思います。後から思うと、これが彼にはまってしまった一番の理由かなと。顔が見えない分、脳が「この声にぴったりな人」のイメージを自動で作ってしまうみたいな。
私は勝手に
・優しい目をしてる
・笑うとクシャッとした顔になる
・やわらかそうな髪
・やや細身
みたいなイメージをふくらませていました。
そしてその頃には、もう完全に彼のことを好きになっていました。
毎晩「カイトいるかな」ってドキドキしながらログイン。いないともうゲームしたくなくなるほどガッカリして。
寝る前にはいつも「あの声、また聞きたいな」って頭の中でカイトの声を思い浮かべながら寝ていました。
初めてお互いのことを「好き」ってはっきり言ったのは、半年くらいたった頃でした。
いつものように深夜のボイチャで、みんなログアウトした後に二人きりになりました。
するとカイトが急に真面目なトーンで「リナさんってさ……俺のこと、どう思ってる?」
その瞬間、私は頭が真っ白になって、
「……声がすごく好き。毎日聞きたくて、ログインしてる」って、言っちゃいました。
カイトは「……俺も。リナさんの声、好きだよ。ずっと前から」って言ってくれて。その瞬間、思わず涙があふれてしまいました。顔も知らないのに、こんなに本気で好きになれるんだなって。
それから数ヶ月後、ついにオフ会。
ドキドキしながら待ち合わせ場所に行ったら……。出てきたのは、想像よりちょっと小柄で、眼鏡かけてて、いわゆるイケメン…ではないけど普通に優しそうな人でした。
想像とは違っていたけれど幻滅は全然しませんでした。むしろ「あ、この声、この人にぴったり」って思いました。
声と人物が一致した瞬間、なんかすごく安心しました。カイトは本当にいたんだって。
そこからリアルでも付き合いはじめましたが、実は半年くらいで自然消滅しちゃいました。
嫌いになったわけではなく、遠距離恋愛だったり生活リズムが合わなかったりで。
でも今でもあの声は頭に残ってて、たまに似た感じの声を聞くと胸がきゅってなります。
最後に。今ネトゲやってて、誰かの声にドキッとしてる人へ。
声で好きになるのは、全然おかしくないと思います。
私はお別れしてしまったけど、あの感情は偽物じゃなかった。顔が見えないからこそ、声の温かさ、優しさ、寂しがり屋なところ、全部ストレートに心に入ってきました。本気で好きだったんだと思う。
私もまた、そんな声に出会えたらいいなって、今でもどこかで思ってます。
(※自分の体験をもとに、特定をさけるためちょっと脚色入れてます。)

